初期臨床研修プログラム概要・様式10について

上都賀総合病院初期臨床研修プログラム


理念

 本プログラムは、上都賀総合病院を基幹施設として, 栃木県西部医療圏や近隣医療圏の協力施設が有機的に連結し、総合診療に重点を置いた実践的教育を行ない、幅広い医学知識と臨床技能を習得した上で、地域の医療事情を理解し、実情に合った医療を実践する、柔軟性の高い医師を育成することを目標とする。
 全ての医師には、基礎的な問診と理学的所見に基づいて、迅速かつ正確に初期診断を下す能力と、診療開始時に得られた限られた情報をもとに、適切なトリアージと初期治療によって最大限の安全を確保する初期対応能力が必要とされる。こういった能力を養うためには、経験豊かな指導医のもとで、前情報のない重症例に数多く接することが必要である。
 通常の医療は全力をあげて生命を救う段階(超急性期)、全身状態を安定させる段階(急性期)、社会に復帰する能力の再獲得を支援する段階(回復期・亜急性期)、安定した状態を維持する段階(慢性期)の4段階に分類できる。この4つの各段階に相互矛盾が生じないように、各段階にかかわる職種からなる医療チームにおいて、一貫性のあるマネージメントを行なう能力も、全ての医師に必要な能力である。
 同時に、社会復帰が不可能な患者さんや、終末期にある患者さんに最善の療養環境を提供し、最期の瞬間まで尊厳に満ちた生涯を全うしてもらうことも、医師の欠かせない任務である。そのためには生命の尊厳について研鑽し、常に思索を巡らせ、仲間と語り合うことが必要である。
 さらに、これらの能力をその時点で標準的な医学的知見に見合った内容に進化させるためには、生涯にわたって学術的な研鑽に努めるとともに、臨床における疑問点の解決にむけて研究活動を継続する姿勢が必要である。
 医師にとって、各専門領域の知識は非常に重要だが、特定の領域において本当に優秀な専門家になろうとするのならば、何よりもまず確固とした基礎を築くことが必要である。専門知識は、医療全般にたいする幅広い知識と技術の裏付けがあってこそ、その真価を発揮するものである。
 本プログラムにおいて、われわれは全ての医師に共通して必要とされるこれらの基礎的な能力を、真摯に、全力をもって教育する。




プログラム概要

1.プログラムの名称
上都賀総合病院初期臨床研修プログラムA  (プログラム番号:030103301)

2.プログラムの目的と特徴
臨床研修の初年度に問題を広くとらえ診療にあたる基本的な知識・技能・態度を身につける。24ヵ月の臨床研修の期間の中で、内科、救急部門、地域医療、選択必修科(外科、麻酔科、小児科、産婦人科及び精神科)そして選択科をローテートする。このプログラムの特徴として、当院は栃木県県西地域の中核病院として二次救急を行っており、数多くの救急患者を経験することができる。また、地域医療・保健活動にも力を入れており、在宅医療及びリハビリテーションなども研修可能である。

3. 病院の沿革・特徴
昭和107月有限責任購買利用組合上都賀病院として開設し、昭和407月総合病院の承認を得て現在に至っている。開設以来、組合員及び一般住民に対する医療活動を展開し、医師等の人的充足及び各種最新医療器械整備の充実並びに施設の拡充を図り、高度な医療を提供し、公的基幹病院の使命を果たしている。

4. 病床数・職員数
病床数        352
一般病床数    302床(地域包括ケア48床、緩和ケア7床)
精神病床数    50
常勤医師数    55
全常勤職員数  495

5. 研修期間
研修期間は2年間と定める。

6. 定員
基幹型プログラム (A):1学年あたり5名


7. 研修科目および研修期間
(1)必修科目
内科            2年間のうち、最低6ヶ月(24週)
救急科              2年間のうち、最低3ヶ月(12週)
地域医療           2年間のうち、最低1ヶ月(4週)
外科     2年間のうち、最低1ヶ月(4週)
小児科    2年間のうち、最低1ヶ月(4週)
産婦人科   2年間のうち、最低1ヶ月(4週)
精神科    2年間のうち、最低1ヶ月(4週)
一般外来   2年間のうち、最低1ヶ月(4週)(内科または地域医療と並行研修)
選択科    2年間のうち、最低10ヶ月(40週)

注1:地域医療研修の期間は、週に1回臨床研修協力病院に登録された地域医療施設などにおいて、実地の診療業務に参加する。他の勤務日には救急科研修に準じて救急外来での診療に従事する。
注2:臨床研修協力施設
あきば内科循環器科クリニック、いとうこどもクリニック、小川こどもクリニック、
奥山医院、竹村内科腎クリニック


( 2 )臨床研修協力病院への出向研修
基幹型プログラムの研修医には、初期臨研修期間中に、協力病院ごとに定められた期間に限り、臨床研修協力病院への出向研修を許可する。

出向可能な科目
臨床研修協力病院の受け入れ体制が整えられた科目を任意に選択できる。
各研修医の希望を確認した上で臨床研修センターが受け入れ先との打ち合わせを行なう。

臨床研修協力病院
獨協医科大学病院、千葉大学医学部附属病院、筑波大学附属病院、とちぎメディカルセンターしもつが

8. ローテーションスケジュールの決定方法
医師国家試験合格発表後、新規採用者が決定した時点で、臨床研修センターがヒアリングを開催する。
ヒアリングには臨床研修カリキュラム責任者、事務担当者、初期研修医、新規採用者が参加する。
各自の希望を十分に考慮して以降6ヶ月間のローテーションスケジュール案を作成する。
同様のヒアリングを例年9月にも施行し、以降6ヶ月間のローテーションスケジュール案を作成する。
ローテーションスケジュールは、月例の臨床研修委員会で最終的に決裁する。

9. オリエンテーション
例年4月1日から5日間弱のオリエンテーションを行なう。実際に診療を行なう上で必要となる手続き、注意事項、接遇、安全管理、診療録記載、静脈ラインの確保、採血方法、ICLSなどを講習する。

10. 担当する業務
全科共通
(1) 休日・夜間当番:週1回程度休日の日直あるいは夜間当直を担当する。
休日日直:午前0830分から午後0500
夜間当直:午後0500分から午前0830
注1:初期研修医が単独で救急患者の対応をすることを禁止する。必ず上級医の監督・指導のもとで診療すること。
注2:緊急の場合を除き、救急外来当番の時間帯は、救急外来の業務を最優先とすること。
(2) 学術活動
上都賀郡市医師会学術講演会において、15分程度の症例提示を担当する。
栃木県総合医学会において、症例提示を担当する。
公開CPCのプレゼンターを担当する。

内科
(1) 総合内科外来予診:週1回担当する。
予約時間:午前845分から午前1130分 
初診受付:午前830分から午前1100
注1:緊急の場合を除き、総合内科外来予診の時間帯は、その業務を最優先とすること。
(2) 内科救急外来:午前もしくは午後の内科救急外来を週3回担当する。
月曜日から金曜日
午前:午前830分から午前1200
午後:午前1200分から午後0500
注1:困難な症例、重症例、混雑時、入院適応症例の場合は遅滞なく内科統括当番に報告し、応援や指示を受けること。
注2:初期研修医が単独で救急患者の対応をすることを禁止する。必ず上級医の監督・指導のもとで診療すること。
注3:緊急の場合を除き、救急外来当番の時間帯は、救急外来の業務を最優先とすること。
(3) 病棟業務:指導医の指導のもと、常時1015名程度の病棟患者を担当する。指導医が連日回診。侵襲的処置は全て指導医の監督下で施行する。
内科病棟業務については、指導医の専門領域により、総合内科・膠原病内科、呼吸器内科、消化器内科、内分泌代謝内科、循環器内科のいずれかに配属される。希望によって1〜2ヶ月毎にローテートすることが可能である。
注:担当症例は、内科統括当番(内科指導医クラスが担当)が各人の業務負荷やこれまでの担当症例を考慮して割り当てる。
注:レポートとして提出するサマリーは、退院時に指導医と協議して選定する。
(4) 検査業務:全ての領域の内科医に有益な検査として、以下の検査を各週1回見学することを推奨する。
腹部超音波断層検査:月曜日〜土曜日の午前中
心臓超音波断層検査:月曜日午前または金曜日午後
検査業務の見学は各自の希望に沿う。
緊急の場合を除き、その時間帯は、検査業務を最優先とすること。
(5) カンファレンス:内科ローテーション中、研修医はカンファレンスにて毎回各自1例以上を症例提示する。
内科カンファレンス:土曜日午後8時30分から午後12時30
糖尿病カンファレンス:月曜日午後300分から午後400
消化器カンファレンス:木曜日午後430分から午後530
呼吸器・膠原病カンファレンス:金曜日午後500分から午後700
注:内科カンファレンスでは、教育担当が30分程度のミニレクチャーを開催する。あるいは当番で英語論文抄読会を開催する。
(6) 学術活動
月例の内科CPCのプレゼンターを担当する。
当院基幹型研修の研修医は、2年間に各人1回以上、日本内科学会関東地方学術集会で症例報告を行う。

救急科
(1) 救急外来当番
救急科研修中は、内科系症例、外科系症例の区別なく、救急外来に搬送された全ての症例の診療業務を担当する。
診療時間:
月曜日から金曜日:午前830分から午後0500
土曜日:午前830分から午前1230
注1:困難な症例、重症例、混雑時、入院適応症例の場合は遅滞なく統括当番に報告し、応援や指示を受けること。
注2:初期研修医が単独で救急患者の対応をすることを禁止する。必ず上級医の監督・指導のもとで診療すること。
注3:緊急の場合を除き、救急外来当番の時間帯は、救急外来の業務を最優先とすること。
(2) カンファレンス:救急科ローテーション中、研修医は内科カンファレンスにて毎回各自1例以上を症例提示する。
内科カンファレンス:土曜日午後830分から午後12時30
注:内科カンファレンスでは、教育担当が30分程度のミニレクチャーを開催する。あるいは当番で英語論文抄読会を開催する。

病理診断科
(1)手術検体切り出し:毎日10時過ぎから(時間不定期)
  最初のうちは見学のみとなるが、本人の能力・やる気に応じて、実際の切り出しを行なってもらう(診断に直接関わるものなので、研修内容はあくまでも本人の能力・やる気に依存します)。
(2)迅速組織診:不定期
  手術で切除された組織の断端や、リンパ節転移の有無を、凍結切片を用いて診断・報告する。診断に際しては、必ず病理医のダブルチェックを受けます。
(3)通常組織診:毎日(時間不定期)
  本人の能力・やる気に応じて、組織診(特に外科系の手術検体)を一定量おこなう。診断に際しては、必ず病理医のダブルチェックを受けます。免疫染色が必要と思われる場合などは、病理医に必ず相談して下さい。
(4)細胞診:ほぼ毎日(時間不定期)
  所見のある細胞診については、必ず病理医と共に診断しましょう(ただし細胞診は、通常の組織が分からないうちは、相当難しいです)。
(5)病理解剖:不定期
  できる限り、自ら執刀して臓器の取り出しを経験してもらいます。今後死体解剖資格の取得を考えている人には、特に真剣に取り組んでもらうところです。臓器の肉眼診断などについては、病理医の指導を受けてもらいます。
(6)病理解剖診断:毎日(9時~17時)
  病理解剖の肉眼的・組織学的な診断をして、最終診断にまとめていただきます。解剖の診断に伴う病理総論の知識の習得は病理の基本中の基本ですので、基本的には、これに最も時間をかけてもらいます。
 また、時間があれば、病理解剖の検体を包埋・薄切~染色まで経験してもらいます。
(7)内科CPC、あるいは公開CPCでのプレゼンテーション(月1回、木曜日)
  病理解剖所見について、臨床医との意見交換を行ないます。

※病理解剖診断で、患者様がお亡くなりになった原因を筋道立てて検討すること・そしてそれをCPCで臨床医とさらに追及していくことは、病理の醍醐味です。病理研修に関しては、これと是非知っていっていただきたいと思います。将来他科に進まれる際にも役立つのではないかと思います。

眼科
(1)外来研修
(2)手術研修
(3)救急対応研修
(4)その他

(1)外来研修
  月曜日~金曜日・隔週土曜日:午前、金曜日:午後
  外来にて視力検査・眼圧検査・細隙灯顕微鏡検査・眼底検査など見学・実習
  月曜日:午後、火曜日・木曜日:午後適宜
  視野検査・蛍光眼底造影検査・レーザー治療など見学
  水曜日:午後
  白内障術前検査、白内障手術説明会、症例検討会に参加
(2)手術研修
  火曜日・木曜日:午後
  手術室での手術見学、病棟回診
(3)救急対応研修
  救急外来担当時に必要と思われる眼科疾患の知識と鑑別方法、治療法、眼科受診を直ちに勧めるべきかの判断知識(眼科以外の科で必要となる眼科的知識を含む)について研修

(4)その他
  希望があれば、ウェットラボ(白内障手術体験)、院外の眼科研修会・講演会にも参加できる。ただし、内容によっては獨協医科大学と合同になることがある。


耳鼻咽喉科
  耳鼻咽喉科研修週間予定(月曜日~土曜日)
(月曜日)午前8時30分:病棟回診
     午前9時00分~12時00分:耳鼻咽喉科一般外来、もしくは手術
     午後2時00分~17時00分:耳鼻咽喉科一般外来
     午後17時00分:病棟回診
(火曜日)午前8時30分:病棟回診
     午前9時00分~12時00分:耳鼻咽喉科一般外来
     午後2時00分~17時00分:耳鼻咽喉科特殊外来(予約検査等)
     午後17時00分:病棟回診
(水曜日)午前8時30分:病棟回診
     午前9時00分~12時00分:耳鼻咽喉科一般外来
     午後1時00分~:手術(術後は病棟管理含む)
(木曜日)午前8時30分:病棟回診
     午前9時00分~11時00分:耳鼻咽喉科一般外来
     午前11時00分~:手術(術後は病棟管理含む)
(金曜日)午前8時30分:病棟回診
     午前9時00分~12時00分:耳鼻咽喉科一般外来
     午後2時00分~17時00分:耳鼻咽喉科特殊外来
     午後17時00分:病棟回診
(土曜日)午前8時30分:病棟回診
     午前9時00分~12時00分:耳鼻咽喉科一般外来

1)外来診療に関する補足、備考事項
 ①初期研修医が単独で診療および患者の対応する事なく、必ず指導医の監督、指導のもと診療すること。
 ②困難な症例、重症例、混雑時、入院適応症例の場合は指導医に速やかに報告し、応援や指示を受けること。
2)病棟業務に関する補足、備考事項
 ①指導医の監督、指導のもと診療、処置、病状説明等を行なう。
3)検査業務に関する補足、備考事項
 ①特殊外来における以下の検査は可能な限り必ず1回見学する。
 ・聴覚検査および補聴器適合に関する検査(標準鈍音聴力検査、語音明瞭度検査、内耳機能検査、インピーダンスオージオメトリ、ABR等)
 ・鼻腔、咽頭、喉頭内視鏡検査
 ・嗅覚検査、味覚検査、顔面神経機能検査
 ・頭頸部外科領域の画像診断、穿刺吸引細胞診、生検等
 ・嚥下機能検査(嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査等)
4)カンファレンス
 ①研修開始日の朝の病棟回診時にオリエンテーションを施行
 ②毎週金曜日の午後の病棟回診後にその週の総括を行ない、毎月の終了時に1例以上を症例提示する。
 ③週に1回を目安に指導医による30分~1時間程度の講義を行なう。
 ④あらかじめ渡しておいた臨床問題(約10~20題)の解答、答え合わせを行なう。

地域医療研修
(1) 診療所業務
週に1回臨床研修協力病院に登録された地域医療施設などにおいて、実地の診療業務に参加する。
i. 臨床研修協力施設:以下の医療機関のうちから1施設以上を選択する。
①あきば内科循環器科クリニック
②奥山医院
③竹村内科腎クリニック
④いとうこどもクリニック
⑤小川こどもクリニック

ii. 勤務日および勤務時間
臨床研修協力施設との事前申し合わせによって決定する。
(2) 救急外来当番
他の勤務日には救急科研修に準じて救急外来での診療に従事する。
診療時間:午前830分から午後0500
注1:困難な症例、重症例、混雑時、入院適応症例の場合は遅滞なく統括当番に報告し、応援や指示を受けること。
注2:初期研修医が単独で救急患者の対応をすることを禁止する。必ず上級医の監督・指導のもとで診療すること。
注3:緊急の場合を除き、救急外来当番の時間帯は、救急外来の業務を最優先とすること。
(3) カンファレンス:地域医療研修中、研修医は内科カンファレンスにて毎回各自1例以上を症例提示する。
内科カンファレンス:火曜日午後630分から午後800
注:内科カンファレンスでは、教育担当が30分程度のミニレクチャーを開催する。あるいは当番で英語論文抄読会を開催する。

11. 研修の評価方法
各ローテーション修了時に研修の評価を行う。
(1) Evaluation system of Postgraduate Clinical training; EPOC2による評価
国立大学病院長会議の作成したEPOC2を使用する。
(2) 面談による評価
例年3月と9月にカリキュラム責任者と研修の進捗状況について面談する。
面談時に経験症例、習得した技術、就労態度などについて、EPOC2の記載内容を元にして話し合う。
この際、研修医から指導医・研修施設・研修プログラムの逆評価も聴取する。

12. 修了基準
下記の項目を確認した上で、臨床研修委員会において修了を認定する。2年間の臨床研修の修了時点において、目標を達成した研修医に対して研修の修了を認定し、病院長は所定の書式により臨床研修修了報告書を厚生大臣に報告する。
又、研修医は病院長より研修修了証明書を授与される。
(1) 研修履修期間
各分野で必要とされる履修期間を満足していること。
傷病、妊娠、出産、育児、その他、やむを得ない理由がある場合に限り、90日間に限り研修を休止することができる。
(2) 研修目標の達成度
経験目標のすべての必修項目について目標に達していること。
所定のレポートを提出し、臨床研修プログラム責任者の査読に合格していること。
臨床医・社会人としての適正に問題がないこと。
公開CPC、あるいは内科CPCのプレゼンターを1回以上担当していること。
ICLSACLSあるいはそれに準ずるコースを受講し、実技試験に合格していること。
(3) 修了基準を満足しない場合
上記の修了基準を満足しない場合、引き続き当院で研修を継続する場合には未修了とする。当院での研修を中断する場合には中断とする。
未修了あるいは中断となった場合には通知書を発行する。
未修了の場合には臨床研修センターが面談の上、研修を再度調整する。

13. プログラムおよび指導内容の逆評価
プログラムのさらなる改良のため、専攻医は毎年8月と2月に無記名式逆評価を行なう。集計結果は担当指導医,施設の研修委員会,およびプログラム管理委員会が閲覧し,集計結果に基づき,上都賀総合病院内科専門研修プログラムと指導医の指導技術の向上、あるいは研修環境改善の重要な参考とする。

14. 問題発生時の相談先
研修施設群内で何らかの問題が発生し,施設群内で解決が困難な場合、日本専門医機構内科領域研修委員会を相談先とする。

15. 後期研修への移行
現在当院では、内科、麻酔科については日本専門医認定機構の定める基幹型後期研修が可能である。
希望する場合には、当院から他病院への推薦や紹介を考慮する。

16. 指導体制
上都賀総合病院臨床研修委員会
 院長                           十川康弘
 臨床研修実施責任者    衛藤進吉
 プログラム責任者        花岡亮輔
 内科部長                      吉住博明
 内分泌糖尿病科部長    松村美穂子
 副院長                          知久 毅
 泌尿器科部長               金水英俊
 産婦人科部長               西川正能
 外科部長・診療部長    佐野 渉
 形成外科部長               浅野武雄
 精神科部長                   高山 剛
 脳外科医長                   安部欣博
 眼科部長                      八木加寿子
 耳鼻科部長                   宗田由美
 麻酔科部長      髙山尚美
 病理部長                       豊田亮彦

17. 専門医(認定医)教育病院等学会の指定状況
日本内科学会認定医制度教育病院
日本消化器病学会専門医制度認定施設
日本肝臓学会認定施設
日本超音波医学会認定超音波専門医研修施設
日本リウマチ学会教育施設
日本呼吸器学会教育関連施設
日本糖尿病学会教育施設
日本内分泌学会教育施設
日本甲状腺学会教育施設
日本精神神経学会精神科専門医制度研修施設
日本外科学会専門医制度修練施設
日本がん治療認定医機構認定研修施設
日本大腸肛門病学会認定施設
日本消化器外科学会専門医修練施設
日本整形外科学会専門医制度研修施設
日本形成外科学会教育関連施設
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医教育施設
日本眼科学会専門医制度研修施設
日本麻酔科学会麻酔科認定病院
日本医学放射線学会放射線科専門医修練協力機関
日本病理学会研修認定施設
日本プライマリ・ケア学会認定医研修施設
日本静脈経腸栄養学会NST稼動施設認定
日本静脈経腸栄養学会栄養サポートチーム専門療法士認定規則実施修練認定教育施設
日本栄養療法推進協議会認定NST稼動施設

18. 処遇
身分:病院職員(嘱託研修医・アルバイトは一切認めない)
研修手当:当院規定による
1年次 月給 400,000円 (賞与含) 基本給 342,900
2年次 月給 450,000円 (賞与含) 基本給 385,800
(賞与) 基本給の2カ月分(夏1ヶ月分・冬1ヶ月分)
(手当) 家族手当支給(賞与算定対象外)
時間外手当は支給しない。
当直手当 1年次110,000 2年次115,000
(退職金) 不支給(研修終了後、継続勤務の場合は退職金算定期間に算入3年以上勤務に支給)
(赴任旅費) 限度内支給
(その他) 図書費支給 年額50,000
病院賠償責任保険(勤務医師包括担保特約加入)
勤務時間:平日:午前8時30分から午後5時(休憩60分)土曜日(第1・3・5週):午前8時30分から午後030
休暇:日曜、祝日、第2・4土曜、8月15日、1229日の午後030分から1月3日(5.5日)、夏期休暇(5日間)、有給休暇、育児・介護休暇 他
休日・夜間当番:週1回程度休日の病院当直医の指導のもと、日直あるいは夜間当直を担当する。
休日日直:午前0830分から午後0500
夜間当直:午後0500分から午前0830
各種保険:健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険・医師賠償保険完備
院内保育園:完備(病児保育あり)
研修医宿舎:1K、1DK、2DK(風呂、トイレ、冷暖房完備)
研修医室:あり。専用の机・ロッカーが付帯する。パソコン設置あり、インターネット利用可能、医療研修情報提供システム(PMET)サービス・UpToDate利用可能
仮眠室:2部屋あり。シャワー設備あり。
当直室:あり。トイレ・シャワー設備・インターネット環境完備。
学会出張:卒後2年目の研修医については、年2回の出張が発表者に限り認められる。

19. 募集要項
募集人員:令和3年度4月採用(研修開始)正職員:5
採用試験:面接のみ
採用試験日:8月第2、第4火曜日(試験日はできる限りご希望に添えるようにいたします)
応募締切日:募集定員に達するまで
応募方法:※まずメールまたは電話でお問い合わせください。
〔必要書類〕
履歴書(臨床研修申込書)[PDF 147KB
成績証明書・卒業見込証明書
健康診断書(学校の健診結果の写しで可)

20. 応募・問い合わせ先
担当部署
臨床研修センター
担当者
手塚 庄志朗
住所
3228550 栃木県鹿沼市下田町1丁目1033番地
電話番号
0289642161(代表)
メールアドレス
rinsho-kenshu@kamituga-hp.or.jp



到達目標

行動目標
医療人として必要な基本姿勢・態度
1)患者・医師関係
患者を全人的に理解し、患者・家族と良好な人間関係を確立するために、
1.患者、家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握できる。
2.医師、患者・家族がともに納得できる医療を行うためのインフォームドコンセントが実施できる。
3.守秘義務を果たし、プライバシーへの配慮ができる。

2)チーム医療
医療チームの構成員としての役割を理解し、保健・医療・福祉の幅広い職種からなる他のメンバーと強調するために、
1.指導医や専門医に適切なタイミングでコンサルテーションできる。
2.上級及び同僚医師、他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれる。
3.同僚及び後輩へ教育的配慮ができる。
4.患者の転入、転出にあたり情報を交換できる。
5.関係機関や諸団体の担当者とコミュニケーションがとれる。

3)問題対応能力
患者の問題を把握し、問題対応型の思考を行い、生涯にわたる自己学習の習慣を身につけるために、
1.臨床上の疑問点を解決するための情報を収集して評価し、当該患者への適応を判断できる。(EBM=Evidence Based Medicine の実践ができる)。
2.自己評価及び第三者による評価を踏まえた問題対応能力の改善ができる。
3.臨床研究や治験の意義を理解し、研究や学会活動に関心を持てる。
4.自己管理能力を身につけ、生涯にわたり基本的診療能力の向上に努める。

4)安全管理
患者ならびに医療従事者にとって安全な医療を遂行し、安全管理の方策を身につけ、危機管理に参画するために、
1.医療を行う際の安全確認の考え方を理解し、実施できる。
2.医療事故防止及び事故後の対処について、マニュアルなどに沿って行動できる。
3.院内感染対策(Standard Precautionsを含む)を理解し、実施できる。

5)医療面接
患者・家族との信頼関係を構築し、診断・治療に必要な情報が得られるような医療面接を実施するために、
1.医療面接におけるコミュニケーションのもつ意義を理解し、コミュニケーションスキルを身につけ、患者の解釈モデル、受診動機、受療行動を把握できる。
2.患者の病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、生活・職業歴、系統的レビュー)の聴取と記録ができる
3.インフォームドコンセントのもとに、患者・家族への適切な指示、指導ができる。

6)症例呈示
チーム医療の実践と自己の臨床能力向上に不可欠な、症例呈示と意見交換を行うために、
1.症例呈示と討論ができる。
2臨床症例に関するカンファランスや学術集会に参加する。

7)診療計画
保健・医療・福祉の各側面に配慮しつつ、診療計画を作成し、評価するために、
1.診療計画(診断、治療、患者・家族への説明を含む)を作成できる。
2.診療ガイドラインやクリニカルパスを理解し活用できる。
3.入退院の適応を判断できる。(デイサージャリー症例を含む)
4.QOLQuality of Life)を考慮に入れた総合的な管理計画(リハビリテーション、社会復帰、在宅医療、介護を含む)へ参画する。

8)医療の社会性
医療の持つ社会的側面の重要性を理解し、社会に貢献するために、
1.保健医療法規・制度を理解し、適切に行動できる。
2.医療保険、公費負担医療を理解し、適切に診療できる。
3.医の倫理、生命倫理について理解し、適切に行動できる。

経験目標
A 経験すべき診察法・検査・手技

1)基本的な身体診察法
病態の正確な把握ができるよう、全身にわたる身体診察を系統的に実施し、記載するために、
1.全身の観察(バイタルサインと精神状態の把握、皮膚や表在リンパ節の診察を含む)ができ、記載できる。
2.頭頸部の診察(眼瞼・結膜、眼底、外耳道、鼻腔口腔、咽頭の観察、甲状腺の触診を含む)ができ、記載できる。
3.胸部の診察ができ、記載できる。
4.腹部の診察ができ、記載できる。
5.骨盤内診察ができ、記載できる。
6.泌尿・生殖器の診察ができ、記載できる。
7.骨・関節・筋肉系の診察ができ、記載できる。
8.神経学的診察ができ、記載できる。
9.小児の診察(生理的所見と病的所見の鑑別を含む)ができ、記載できる。
10.精神面の診察ができ、記載できる。

2)基本的な臨床検査
病態と臨床経過を把握し、医療面接と身体診察から得られた情報をもとに必要な検査を、自ら実施し、結果を解釈できる(A)。もしくは検査の適応が判断でき、結果の解釈ができる(B)
※下線の検査については、受け持ち患者の検査として診療に活用した経験が必須。
(A)の検査は、自ら実施すれば受け持ち症例でなくてもよい。

1.一般尿検査(尿沈渣顕微鏡検査を含む)(B)
2.便検査(潜血、虫卵)(B)
3.血算・白血球分画(B)
4.血液型判定・交差適合試験(A)
5.心電図(12誘導)、負荷心電図(A)
6.脈血ガス分析(A)
7.血液生化学的検査(B)
簡易検査(血糖、電解質、尿素窒素など)
8.血液免疫血清学的検査(免疫細胞検査、アレルギー検査を含む) (B)
9.細菌学的検査・薬剤感受性検査(B)
検体の採取(痰、尿、血液など)
簡単な細菌学的検査(グラム染色など)
10.肺機能検査(B)
11.髄液検査(B)
12.細胞診・病理組織検査 (B)
13.内視鏡検査(B)
14.超音波検査(A)
15.単純X線検査(B)
16.造影X線検査(B)
17.XCT検査(B)
18.MRI検査(B)
19.核医学検査(B)
20.神経生理学的検査(脳波・筋電図など) (B)

3)基本的手技
基本的手技の適応を決定し、実施するために、以下の項目を習得すること。
下線の手技は自ら行った経験があることが必須要件である。
1.気道確保を実施できる。
2.人工呼吸を実施できる。(バッグマスクによる徒手換気を含む)
3.胸骨圧迫を実施できる。
4.圧迫止血法を実施できる。
5.包帯法を実施できる。
6.注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保、中心静脈確保)を実施できる。
7.採血法(静脈血、動脈血)を実施できる。
8.穿刺法(腰椎、胸腔、腹腔)を実施できる。
9.導尿法を実施できる。
10.ドレーン・チューブ類の管理ができる。
11.胃管の挿入と管理ができる。
12.局所麻酔法を実施できる。
13.創部消毒とガーゼ交換を実施できる。
14.簡単な切開・排膿を実施できる。
15.皮膚縫合法を実施できる。
16.軽度の外傷・熱傷の処置を実施できる。
17.気管挿管を実施できる。
18.除細動を実施できる。

4)基本的治療法
基本的治療法の適応を決定し、適切に実施するために、
1.療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む)ができる。
2.薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、薬物治療(抗菌薬、副腎皮質ステロイド薬、解熱薬、麻薬を含む)ができる。
3.輸液ができる。
4.輸血(成分献血を含む)による効果と副作用について理解し、輸血が実施できる。

5)医療記録
チーム医療や法規との関連で重要な医療記録を適切に作成し、管理するために、
1.診療録(退院時サマリーを含む)POS(Problem Oriented System)に従って記載し管理できる。
2.処方箋、指示箋を作成し、管理できる。
3.診断書、死亡診断書(死体検案書含む)、その他の証明書を作成し、管理できる。
4.CPC(臨床病理カンファランス)レポートを作成し、症例呈示できる。
5.紹介状と、紹介状への返信を作成でき、それを管理できる。

特に以下を必須項目とする。
1.診療録の作成
2.処方箋・指示書の作成
3.診断書の作成
4.死亡診断書の作成
5.CPCレポート()の作成、症例呈示
 ( CPCレポートとは、剖検報告のこと)

B経験すべき症状・病態・疾患
研修の最大の目的は、患者の呈する症状と身体所見、簡単な検査所見に基づいた鑑別診断、初期治療を的確に行う能力を獲得することにある。
1 頻度の高い症状
必須事項
下線の症状を自ら診療し、鑑別診断を行うとともに、後日その経緯をレポートとして提出すること。
       1.全身倦怠感
       2.不眠
       3.食欲不振
       4.体重減少、体重増加
       5.浮腫
       6.リンパ節腫脹
       7.発疹
       8.黄疸
       9.発熱
       10.頭痛
       11.めまい
       12.失神
       13.けいれん発作
       14.視力障害、視野狭窄
       15.結膜の充血
       16.聴覚障害
       17.鼻出血
       18.嗄声
       19.胸痛
       20.動悸
       21.呼吸困難
       22.咳・痰
       23.嘔気・嘔吐
       24.胸やけ
       25.嚥下困難
       26.腹痛
       27.便通異常(下痢、便秘)
       28.腰痛
       29.関節痛
       30.歩行障害
       31.四肢のしびれ
       32.血尿
       33.排尿障害(尿失禁・排尿困難)
       34.尿量異常
       35.不安・抑うつ
2 緊急を要する症状・病態
必須事項
下線の病態の初期治療に参加すること
       1.心肺停止
       2.ショック
       3.意識障害
       4.脳血管障害
       5.急性呼吸不全
       6.急性心不全
       7.急性冠症候群
       8.急性腹症
       9.急性消化管出血
       10.急性腎不全
       11.流・早産及び満期産
       12.急性感染症
       13.外傷
       14.急性中毒
       15.誤飲、誤嚥
       16.熱傷
       17.精神科領域の救急

3 経験が求められる疾患・病態
必須項目
1.(A)疾患については入院患者を受け持ち、診断、検査、治療方針について症例レポートを提出すること
2.(B)疾患については、外来診療又は受け持ち入院患者(合併症含む)で自ら経験すること
3.外科症例(手術を含む)を1例以上受け持ち、診断、検査、術後管理等について症例レポートを提出すること
*全疾患(88項目)のうち70%以上を経験することが望ましい

1)血液・造血器・リンパ網内系疾患
       貧血(鉄欠乏貧血、二次性貧血)(B)
       白血病
       悪性リンパ腫
       出血傾向・紫斑病(播種性血管内凝固症候群:DIC)
2)神経系疾患
       脳・脊髄血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)(A)
       痴呆性疾患
       脳・脊髄外傷(頭部外傷、急性硬膜外、硬膜下血腫)
       変性疾患(パーキンソン病)
       脳炎・髄膜炎
3)皮膚系疾患
       湿疹・皮膚炎群(接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎) (B)
       蕁麻疹(B)
       薬疹
       皮膚感染症(B)
4)運動器(筋骨格)系疾患
       骨折(B)
       関節の脱臼、亜脱臼、捻挫、靱帯損傷(B)
       骨粗鬆症(B)
       脊柱障害(腰椎椎間板ヘルニア) (B)
5)循環器系疾患
       心不全(A)
       狭心症、心筋梗塞(B)
       心筋症
       不整脈 (主要な頻脈性、徐脈性不整脈) (B)
       弁膜症(僧帽弁膜症、大動脈弁膜症)
       動脈疾患(動脈硬化症、大動脈瘤)(B)
       静脈・リンパ管疾患(深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、リンパ浮腫)
       高血圧症 (本態性、二次性高血圧症) (A)
6)呼吸器疾患
       呼吸不全(B)
       呼吸器感染症(急性上気道炎、気管支炎、肺炎)(A)
       閉塞性・拘束性肺疾患(気管支喘息、気管支拡張症)(B)
       肺循環障害(肺塞栓・肺梗塞)
       異常呼吸 (過換気症候群)
       胸膜、縦隔、横隔膜疾患 (自然気胸、胸膜炎)
       肺癌
7)消化器系疾患
       食道・胃・十二指腸疾患 (食道静脈瘤、胃癌、消化性潰瘍、胃・十二指腸炎) (A)
       小腸・大腸疾患 (イレウス、急性虫垂炎、痔核・痔瘻) (B)
       胆嚢・胆管疾患 (胆石、胆嚢炎、胆管炎)
       肝疾患 (ウイルス性肝炎、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、アルコール性肝障害、薬物性肝障害) (B)
       膵臓疾患 (急性・慢性膵炎)
       横隔膜・腹壁・腹膜 (腹膜炎、急性腹症、ヘルニア) (B)
8)腎・尿路系 (体液・電解質バランスを含む)疾患
       腎不全 (急性・慢性腎不全、透析) (A)
       原発性糸球体疾患 (急性・慢性糸球体腎炎症候群、ネフローゼ症候群)
       全身性疾患による腎障害 (糖尿病性腎症など)
       泌尿器科的腎・尿路疾患 (尿路結石、尿路感染症) (B)
9)妊娠分娩と生殖器疾患
       妊娠分娩 (正常妊娠、流産、早産、正常分娩、産科出血、乳腺炎、産褥) (B)
       女性生殖器及びその関連疾患 (無月経、思春期・更年期障害、外陰・膣・骨盤内感染症、骨盤内腫瘍、乳腺腫瘍)
       男性生殖器疾患 (前立腺疾患、勃起障害、精巣腫瘍) (B)
10)内分泌・栄養・代謝系疾患
       視床下部・下垂体疾患 (下垂体機能障害)
       甲状腺疾患 (甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症)
       副腎不全
       糖代謝異常 (糖尿病、糖尿病の合併症、低血糖) (A)
       高脂血症(B)
       蛋白及び核酸代謝異常 (高尿酸血症)
11)眼・視覚系疾患
       屈折異常 (近視、遠視、乱視) (B)
       角膜炎(B)
       白内障(B)
       緑内障(B)
       糖尿病、高血圧・動脈硬化による眼底変化
12)耳鼻・咽喉・口腔系疾患
       中耳炎(B)
       急性・慢性副鼻腔炎
       アレルギー性鼻炎(B)
       扁桃の急性・慢性炎症性疾患
       外耳道・鼻腔・咽頭・喉頭・食道の代表的な異物
13)精神・神経系疾患
       症状精神病
       痴呆 (血管性痴呆を含む) (A)
       アルコール依存症
       うつ病(A)
       統合失調症 (精神分裂病) (A)
       不安障害 (パニック症候群)
       身体表現性障害、ストレス関連障害(B)
14)感染症
       ウイルス感染症 (インフルエンザ、麻疹、風疹、水痘、ヘルペス、流行性耳下腺炎) (B)
       細菌感染症 (ブドウ球菌、MRSAA群レンサ球菌、クラミジア) (B)
       結核(B)
       真菌感染症(カンジダ症)
       性感染症
       寄生虫疾患
15)免疫・アレルギー疾患
       全身性エリトマトーデスとその合併症
       関節リウマチ(B)
       アレルギー疾患(B)
16)物理・化学的因子による疾患
       中毒 (アルコール、薬物)
       アナフィラキシー(A)
       環境要因による疾患(熱中症、寒冷による障害)
       熱傷(B)
17)小児疾患
       小児けいれん性疾患(B)
       小児ウイルス感染症 (麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、突発性発疹、インフルエンザ) (B)
       小児細菌感染症
       小児喘息(B)
       先天性心疾患
18)加齢と老化
       高齢者の栄養摂取障害(B)
       老年症候群 (誤嚥、転倒、失禁、褥瘡) (B)

C 特定の医療現場の経験
必須項目にある現場の経験とは、各現場における到達目標の項目のうち一つ以上経験すること。
(1)   救急医療
必須項目 救急医療の現場を経験すること
生命や機能的予後に係わる、緊急を要する病態や疾患、外傷に対して適切な対応をするために、
1.バイタルサインの把握ができる。
2.重症度及び緊急度の把握ができる。
3.ショックの診断と治療ができる。
4.二次救命処置(ACLS=Advanced Cardiovascular Life Support、呼吸・循環管理を含む)ができ、一次救命処置(BSL= Basic Life Support)を指導できる。
ACLSは、バッグ・バブル・マスク等を使う心肺蘇生法や除細動、気管挿管、薬剤投与等の一定のガイドラインに基づく救命処置を含み、BSLには、気道確保、心臓マッサージ、人工呼吸等の機器を使用しない処置が含まれる。
5.頻度の高い救急疾患の初期治療ができる。
6.専門医への適切なコンサルテーションができる。
7.大災害時の救急医療体制を理解し、自己の役割を把握できる。

2)予防医療
必須項目 予防医療の現場を経験すること
予防医療の理念を理解し、地域や臨床の場での実践に参画するために、
1.食事・運動・禁煙指導とストレスマネージメントができる。
2.性感染症予防、家族計画指導に参画できる。
3.地域・職場・学校検診に参画できる。
4.予防接種に参画できる。

3)地域保健・医療
必須項目 保健所、診療所、社会福祉施設、介護老人保健施設、へき地・離島診療所等の地域保健・医療の現場を経験すること
地域保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1.保健所の役割 (地域保健・健康増進への理解を含む)について理解し、実践する。
2.社会福祉施設等の役割について理解し、実践する。
3.診療所の役割 (病診連携への理解を含む)について理解し、実践する。
4.へき地・離島医療について理解し、実践する。

4)小児・成育医療
必須項目 小児・成育医療の現場を経験すること
小児・成育医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1.周産期や小児の各発達段階に応じて適切な医療が提供できる。
2.周産期や小児の各発達段階に応じて心理社会的側面への配慮ができる。
3.虐待について説明できる。
4.学校、家庭、職場環境に配慮し、地域との連携に参画できる。
5.母子健康手帳を理解し活用できる。

5)精神保健・医療
必須項目 精神保健福祉センター、精神病院等の精神保健・医療の現場を経験すること
精神保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1.精神症状の捉え方の基本を身につける。
2.精神疾患に対する初期的対応と治療の実際を学ぶ。
3.デイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解する。

6)緩和・終末期医療
必須項目 臨終の立ち会いを経験すること
緩和・終末期医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1.心理社会的側面への配慮ができる。
2.緩和ケア (WHO方式がん疼痛治療法を含む)に参加できる。
3.告知をめぐる諸問題への配慮ができる。

4.死生観・宗教観等への配慮ができる。